施工・改修方法を知る
グリップコートでの既設床の改修工法について解説します。
“CLEAN &TUFF”
工場床の改修・改装工事にもグリップコートの優れた特長が活かせます。
改修下地は千差万別…傷みや汚れ、水や油での湿潤状態など、ご使用状況に加えて、その既設床の材質も、コンクリートや塗り床材を含めた各種床材など様々。それらの下地の状況・材質に応じて、グリップコートの下地処理工法・プライマーの各種ラインナップで、適切な下地作りを行います。また、材料・仕様・技術に加えて、住友ゴムのメーカー直販店と認定施工協力会「住友ゴムGC会」による“責任施工体制”が、下地づくりの基礎をバックアップ。適切な材料・下地処理工法と仕上げ材のマッチングと、確かな施工体制で、使用目的に合った改修工法をご提供させていただきます。
1傷みや凹凸のある床の改修
磨耗や酸・アルカリによる傷みや、凹凸のある床を改修する場合は、劣化した部分を削り取ってから表面修正を行い、仕上げ材を積層塗工します。
豆ジャリ/エポキシモルタルを組み合わせた嵩上げ工法例
2汚泥の堆積、油汚れの床の改修
汚泥の堆積・油汚れの激しい床を改修する場合は、汚れや堆積物を削り取ってから、仕上げ材を塗工します。
化学的洗浄
軽度な汚れの場合は、洗浄した後に目粗しを行って、油面プライマー処理等を行います。
薄層研削
汚れがひどい場合は、薄層研削で汚れを除去し、プライマー処理後、下地修正、仕上材塗装を行います。
軽度な汚れの場合
ひどい汚れ・堆積の場合
3湿潤床の改修
いつも濡れていて、下地を充分乾燥させることが困難な場所は、バーナーによる強制乾燥の後、仕上材を塗工します。
常時濡れていて下地を充分に乾燥させることが困難な場所は、下地コンクリート表層に含まれる水分を除去する為、強制乾燥を行ってから仕上げ仕様を塗工します。
4陶磁器タイル床の改修
陶磁器プライマーを塗布して、エポキシモルタルやエポキシパテで穴埋めや段差修正を行ってから仕上げ塗工します。
下地タイルは、大きな凹凸を生じていることが多いので、樹脂モルタル仕様(A-40、G-45)による平坦化改修をお奨めします。
5Pタイル、長尺シートの改修
既存床材を撤去した後、下地に合わせた特殊プライマーを塗布して、仕上げ材を塗工します。
既存床材の撤去
既存床の材質・接着状況が強靱な場合(主に塗り床の場合)には、下地として残す場合もあります
特殊プライマーの塗布
段差修正の必要がある場合には、パテ材で修正する
特殊プライマー
- 湿潤プライマー
- 陶磁器プライマー
- 油面プライマー
- 錆止めプライマー
6硬質セメント床の改修
十分な目荒らしをした後、特殊プライマーを塗布してから、仕上げ材を塗工します。
表面の薄層研削を行う
傷みの激しい場合や、油汚れの激しい場合は、脆弱部や汚れを表面研削して除去する
特殊プライマー
- 湿潤プライマー
- 陶磁器プライマー
- 油面プライマー
- 錆止めプライマー
7メンテナンス・施工上の留意点
日常のメンテナンス
- モップやデッキブラシ(床の仕上げによって選択)を用いて水洗いを行ってください。
- 汚れのひどい時には、中性洗剤の希釈液を用いて洗浄してください。
- ワックス処理することにより、床材の保護と美観を保つことができます。床ワックスメーカーのカタログなどに従い、床の種類により適切なワックスを使用してください。
- 工具等の落下によるキズや小さな剥がれは、そのままで放置すると大きな剥離につながることがありますので、施工業者に連絡し、補修するようにしてください。(応急補修にはグリップコートクイックパテ[グレー色のみ]を用意しております)
使用上の注意
- 黒色ゴム(タイヤ・キャスター)等との接触により、床面が汚染する場合があります。特にウレタン系床材(U-20、U-20H、ハイパーU)の場合にはご注意ください。
- グリップコートはU-10、M-10、M-20、WM-20、セメント系硬質床を除き、基本的に屋内仕様です。屋外用途をご検討いただく場合には、耐候性トップコートなどが必要な場合がありますので、ご相談ください。
- 仕様によっては、施工時または施工後数日、臭気を発生することがありますので、換気を十分に行ってください。
- 冬季には、規定量添加している溶剤類が揮発する間、硬化反応が遅くなります。そのため物品・設備搬入などのための溶剤類の揮発を阻害するシート・板による養生及び水のご使用については、施工後に1週間以上の養生期間を確保してから行ってください。
- 水洗は樹脂の充分な反応・硬化を確認してから行ってください。軽歩行できても硬化が不十分な場合もあります。
- 床面にキズが付きますので、鋭角な重量物を引きずらないでください。床面を鋭角な重量物で引きずると、床面のハガレやキズが付く恐れがあります。
- 床塗膜の剥離や、下地コンクリートの破壊につながりますので、重量物を落下させるなど強い衝撃を加えないでください。
- 出入り口にはマットを敷くようにするなど、歩行者や運搬車が室内、床上に土砂を運び込まないようにしてください。
- 急激な温度変化や局部的な温度変化の生ずる場合は、耐熱衝撃仕様をご検討下さい。
- 床に薬品がこぼれることが予想される場合には、適切な耐薬品性を有した仕様を選択することが必要です。
- 万一、床面に、油、溶剤、酸、アルカリ等の薬品をこぼした場合には、直ちに拭き取る、水洗いするなどの適切な処置を行ってください。長期間放置すると、こぼれた薬品の種類により、ハガレや変色が起こる場合があります。
- 薬品を缶や瓶で貯蔵する場合、底に付着した薬液により床の変色や膨潤を起こすことがありますので、トレイを使用するなどの処置を行ってください。
- 床面に水がこぼれると滑り易くなります。拭き取り後、乾くまで十分注意してください。
- 万一床塗膜が剥離した時は適切な処置が必要ですので、施工業者に連絡し補修してください。
- 耐熱仕様の床であっても、フライヤーの下などは、熱を遮断する処置が必要です。熱せられた油が落下するような箇所や熱源が接近している箇所は、油や熱が直接床面にかからないようにする処置を取ってください。高熱により樹脂が柔らかくなったり、変形する場合があります。
- 糖、油脂類が塗床中や下地コンクリートモルタル中に長時間浸み込むと酸化し、樹脂やコンクリートを侵す場合がありますので、糖や油脂類を床に溜めるような使用は避けてください。
- 防滑仕上げでも水や油に濡れた状態では滑り易くなりますので、ご留意ください。
- 抗菌性は、大腸菌・黄色ブドウ球菌について確認しています。
下地の条件(設計・施工上の留意点)
塗床の品質性能は、下地となるコンクリートやモルタルの品質と施工前後の養生条件に大きく左右されます。
床材の選定や施工にあたっては、次の事項を考慮することが重要です。
- シンダーコンクリートへのグリップコート施工は、含水や強度面から望ましくありません。やむを得ず施工する場合は、下地打設後2ヵ月以上の十分な乾燥が必要です。
- 使用条件に応じて、薬液などが周囲の区域に流れ出ないよう段差や側溝で区別することが必要です。
- 流しのべ工法では、勾配や不陸のある床面で所定の厚みが確保できない場合があるため、水平性や平坦性は下地で確保下さい。
- 清掃性の向上と薬液やホコリの滞留を防ぐため、立ち上がりや幅木の各コーナー部には20~30mmのRをつけるか面取りを施してください。
- 排水の適当な水勾配は、必ず下地で形成してください。
- 下地は金ゴテで押さえ、平坦(3m弦で3mm以内程度)に仕上げてください。騎乗式などの鏡面仕上げコンクリートの場合は、別途の下地処理が必要ですのでご相談下さい。
- モルタル下地の場合、夏季2週間以上、冬季3週間以上の養生期間をとるのが安全です。コンクリート下地の場合は、4週間以上の養生が必要です。(品質保証上、下地の水分率はケット社製測定器の表示値が5以上の場合には、着工をみあわすことがあります。
- 接地土間や、地下室で湿気や地下水の上昇・浸透が考えられる場合には、躯体での遮水処理が必要です。なお、流しのべ工法(G-30など)で接地土間等を仕上げる場合は、ブリスター(湿気などの影響による仕上材のフクレ現象)を避けるため、エポキシモルタルと組み合わせる積層工法または、エクスプレス工法(E-30S)をおすすめします。但し、施工場所の地形や水圧・水脈などによる、背面水圧が強い場合には、エクスプレス工法では効果が発揮されないケースもあります。(防水モルタルで内防水を行う場合は、金属石鹸系の添加剤は使用しないでください。)
- スチール繊維補強コンクリートへ流しのべ床を施工する場合は、下地表面部の繊維を処理する必要があります。
- WMシリーズの防水仕様を施工する場合は、下地コンクリートへの構造クラックの防止処置をとる必要があります。
- 防食を重視する施工場所は、使用する薬液のイ.種類、ロ.濃度、ハ.温度などの条件を事前にお知らせください。適切な仕様・工法を提案させていただきます。
- コーティング工法の美観性は下地コンクリート肌の影響を受けやすいことを予めご了承下さい。
- コンクリートの清掃は塗床施工に含んでおりません。